なんかうちのクラスは、話が聞けないんだよな…。さんざん説明をした後に「それじゃあ、作業開始!」って言ったら、「ねえ、何やるの?」と友達と相談を始めたり、説明したばかりなのに「先生、これはどうなんですか?」と質問されたり…。
主任の先生のクラスは、ちゃんと子どもたちが先生の話を聞いて動いている…。この差はなんなんだろう?
こんな人のための記事です。
近年は、「個別最適」「アクティブラーニング」が重視され、先生が子どもたちに一斉に説明したり、教えたりする場面をいかに減らすかが大事にされるようになってきました。ただ、それでも「聴く」ことが学級経営上、最重要課題であることには変わりありません。なぜかというと、全ての活動は、「聴く」から始まっているからです。
「個別最適」にしろ、「アクティブラーニング」にしろ、やることが明確にならなければ子どもたちが自主的に動くことなんてできませんよね。何もないところからは何も生まれません。どうしたって活動の始めには先生の投げかけや仕掛けが必要で、全ての活動は「聴く」からスタートするんです!
「話を聴ける体制を作る!」若い先生が、まず始めにぶち当たる壁です。始めはこれができずに、クラスが思うように動いてくれないんですよね。簡単なようで、難しいこの壁をどう乗り越えていくかを考えていきましょう!
「きく」の5段階。「聞く」⇒「聴く」⇒「利く」⇒「効く」⇒「訊く」
よくビジネスや自己啓発など大人向けの研修で紹介されるお話です。でもこれは、子どもたちにも共通する内容ですよね。
①聞く…話し手の発する音をきく
②聴く…話し手の言葉をきく
③利く…話し手の理論をきく
④効く…話し手の気持ちをきく
⑤訊く…話し手の本意をきく
発達段階にもよりますが、まずは、「①聞く」の段階を抜け出すことが学級経営でするべき始めの一歩になります。これを黄金の3日間のうちにやっておきたいですね。私は以下のようなやり方で「②聴く」以降の段階に引き上げていきます。
合言葉は、「目と耳と心で聴く」!
「目と耳と心で!」は昔から言われている言葉ですよね!
これは、学級開きの最初にいつも話しています。
「さあ、これから学級開きを始めたいんだけど…。いや~、みんな先生のことをしっかり見て、話を聴いてくれてうれしいなぁ。『目と耳と心で』話を聴ける人は、ぐんぐん成長する人なんだよ。まずは、目で話している人をよく見る。そして、耳でよく聞く。そして、『自分に使えることはないかな?』『なるほど!』『それはちょっと違うんじゃないかな?』と考えながら聴けたら、それは成長するよね。今のみんなはそれができているね。これを一年間続けていこう!』
学級始めの緊張感があるこの時期に、この指導をしておきたいですね。もし、みんなができているわけではなければできている人をほめてこの話をすることをおすすめします。ただし、学級始めの緊張感が薄れてくると「目と耳と心で聴く」への意識も薄れてきます。そういう時の継続の手立てを見ていきましょう!
話が聴ける学級作りのための大技・小技
話を聴くことの重要性や聴き方のポイントはわかったけれど、実際に聴けるようにするのが難しいんだよね…。
普段、私が使っている技やベテランの先生で上手だなと思った技を紹介していきましょう。
姿勢を整える!
まずは、形から。「姿勢が整うと心も整う」とよく言いますよね。1年生の国語の教科書には、話の聞き方についてこう書かれています。
「足はぺったん、背中はぴん、おなかと背中にぐう一つ」
姿勢を正すことで、参加する気持ちができていきます。できている子を褒めながら、意識を高めていきましょう。
できている子を褒める!
「姿勢を整える」でも出てきましたが、「できている子を褒める!」は学級経営が上手な先生ほど取り入れてどんどん使っています。この技は、低学年ほど効果的ですが、高学年でも十分に使えます。
「いや~、○○さんの話の聴き方が素晴らしいんだよね。目からビームが出るくらい、先生のことをよく見て話を聴いてくれているんだよ!こういう話の聴き方ができる人はぐんぐん成長するね!」
こんな声掛けをするだけで、びっくりするくらいほとんどの子が目を向けてくれます。
「こうやって褒められている人の話を聴いて、自分もやろうとすぐ行動できる人!これも素晴らしいね!話を聴いて、自分にもできそうなことをすぐにやってみる人もぐんぐん成長する人だ!」
こうやって、プラスの連鎖を狙っていきます。普段から定期的に取り入れていくと効果的です。
「30秒だけ説明するよ!」
この技は、「本当に重要な話をする時」または、「作業をいったん中断して説明しなければならない時」に使います。短い時間を先に示してあげることで、「そのくらいの時間なら…」と聞く意識を高めます。
「それは、もう説明しました!」
これは、甘えを許さないための一言です。説明した直後に、説明した内容について質問されることってありますよね。そんな時に、「さっき説明したでしょ!~~~~~。」ともう一度説明してしまうと、子どもたちはそれに慣れてきてしまいます。質問したら先生は、どうせもう一度説明してくれる…。この一言で、そんな甘えは許さないよと伝えます。
素晴らしいものは褒め、ダメなものはダメという。その線引きをきちんとしてあげることが、学級経営では大切ですよね。
「今、○○さんはなんて言った?」
これも、どちらかというと厳しめの一言。授業中に、友達が発表しているのに手遊びしている…。そんな状況ありますよね。そんな時にこの一言を使います。
T:「今、○○さんはなんて言った?」
C:「え、えぇと…。」
T:「友達の意見や考えを聴くのも大切な勉強です。学校でみんなで勉強する意味は何か。友達が自分が思いつかないような、考えもしなかった意見や考えを教えてくれる。『そういう考え方もあるのか!』と自分の考える幅を広げてくれる。考えをどんどん深めてくれる。そこなんだ。だからこそ、聴くことも大切な勉強なんだよ。」
この一言で、実は話を聴いているパターンもあります。でも、手遊びしながら聴いていても、それはやはり音声として聞こえているだけの「聞く」。考えながら「聴く」ことの大切さを伝えたいですね。
リズム拍手
ベテランの先生がよくやっていました。「トントントン、はい」「トン・ト・トン、はい」と言って、子どもたちに真似させます。これをすると、注意しなくても、自然と先生のリズムに耳を傾けます。注目が集まった時点で話し始めます。低学年で、話を聴かせるようにする初期段階としては使える技かなと思います。
掲示物
これは、中学校で経験を重ね、教頭として小学校に来た先生から教わった技です。話の聴き方の掲示物を作る。意識させたいときは、それを黙って指さす。これだけです。まさに中学校のやり方ですよね。
『話を「聴ける」学級作り~全ての活動は「聴く」から始まる!~』のまとめ
それでは、まとめです。
いかがだったでしょうか?話を聴く体制を整えることは、学級経営の第一歩です。学級開きのその瞬間から全力で取り組んでいきたいですね。もし「このやり方が効果的だった」というアイデアがあれば是非教えてください。一緒に学んでいけたら嬉しいです!
それでは、また!
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